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日本航空(株)「参加者も地域も笑顔になれる未来を目指す~JALふるさとワーキングホリデー~」

日本航空(株)「参加者も地域も笑顔になれる未来を目指す~JALふるさとワーキングホリデー~」

日本航空株式会社 地域事業本部事業戦略部 伊東和夫さん
日本航空株式会社 地域事業本部事業戦略部 伊東和夫さん

《聞き手》みらいハウスワークス 渡部郁子さん(以下 渡部) 今回お話を伺うのは、日本航空株式会社、地域事業本部事業戦略部の伊東和夫さんです。よろしくお願いします。まず初めに、日本航空が本事業に取り組んできた経緯を教えていただけますか?

日本航空株式会社 地域事業本部事業戦略部 伊東和夫さん(以下 伊東)
 われわれは航空事業者として、国内外を含めて地域とのネットワークがあり、人やモノの循環、地域と都市、海外をつなぐことに取り組んできました。今、日本の各地で人口減少、少子高齢化が進み、農業の現場では地域の人手不足などの課題を抱えています。地域のニーズに対応し、地域の課題解決に関わることで、地域を元気にしていくお手伝いができるのではないか、と考え本事業に参画しています。人々の笑顔を増やし、つないでいきたいと考えています。

渡部 「笑顔」がキーワードですね。「ワーキングホリデー」という事業名もとても楽しそうです。

伊東
 具体的には、援農に取り組んでいただきます。都会に住んでいる方が地域のお手伝いをしたいと考えた場合、移動コストや現地での滞在コストが発生するので、そういったコストを地域で労働力として提供していただける仕組みを作りました。ボランティアとしての短期的なお手伝いや地域貢献をしてみたいという方の受け皿として、20代、30代、40代ぐらいまでの年代に絞って募集しています。
 例えば、学生の方を対象にしたインターンシップのようなイメージで、地域に短期滞在し、課題解決のお手伝いをすることのできる「地域留学」のような仕組みとして価値を提供できたらと考えています。もちろん、労働ばかりでは地域を楽しめなくなるので、参加者は地域のために価値を提供し、地域は参加者のためにしっかり休日を楽しんでいただけるようなビジネスモデルになっています。

渡部 なるほど、さまざまな地域でインターンシップを体験できるというのはとても面白いですね。

伊東
 昨年度(2021年度)は移住促進事業として、農林水産省の本事業に参加しました。受け入れ先の地域が体験プログラムを作成し、研修生は無料で農業体験や生活体験に参加できるという内容で、約80人の方にご参加いただきました。その中で、移住につながった方もいれば、その後も地域に定期的に通っているという方もいらっしゃいます。
 地域への移住促進という観点では、参加者のモチベーションが高い反面、地域のインフラが脆弱(ぜいじゃく)であり不安といった声がありました。確かに病院や学校、買い物など生活環境を考えた時に、移住となるとハードルの高さを感じる方が多かったようで、地域の課題が改めて浮き彫りになったと思います。
 そこで今年度の事業は、移住にかかわらず、都会に住んだまま短期間だけ地域に移動し、地域の人手不足の課題などに取り組むことで、援農の観点から地域に貢献していくというプログラムを展開しています。

渡部 募集する人材は、学生がメインと考えてよろしいでしょうか?

伊東
 ターゲット層の一つは、大学生の方々です。インターンシップとして短期で参加したい、地域ボランティアに参加したい、というニーズを持つ大学生の方々に対して、気軽に参加してもらえるような仕組みにしています。
 ただし、学生に限るわけではなく、日ごろから「地域に貢献したい」「地域と関わりたい」と考えている方々もぜひ参加してほしいと考えています。そういった方々が実際に地域に関わることができる機会というのは少ないと思いますし、われわれ日本航空がつなぐことによってその先に何か自分にできることを見つけていただける機会になるかもしれません。

渡部 援農をきっかけに、ほかにも地域の役に立てることがたくさんあるかもしれませんね。では、プログラムの詳細について教えてください。

伊東
 岩手県遠野市で、夏に三つのプログラムを開催しました。いずれも14日間の実地研修のうち、移動日として2日、そのほか作業日と休日があります。作業日を組み込むことで、しっかりと労働力を提供していただくため、現地滞在費と相殺して無料で参加できるという点が大きな特徴です。

 三つのプログラムの内容は、大手ビールメーカーと提携するホップ工場での摘花作業プログラム、専業農家でレタスの収穫作業などを体験するプログラム、農地の草刈り野菜の収穫など農的生き方の体験プログラムでした。作業の内容や受け入れ先などによって、好きなプログラムを選ぶことができ、休日は地域をしっかりと楽しめます。
 遠野のプログラムは既に終了しましたが、今後、ほかの地域でプログラムを用意して、12月ごろに募集を開始する予定で進めています。

渡部 連続する14日間の滞在となると、やはりそれはただの旅というよりは、そこに深く関わることになるし、思い入れのある地となりそうですね。

伊東
 まさにそこが目指すゴールです。地域に関わって「この地域のために役に立ちたい」と思う人を増やすこと、都会に住んだまま地域に関わる人を増やすこと、すなわち関係人口が増えることで地域を元気にできるのではないかと思います。そしてそれが、地域の笑顔や都会の笑顔につながっていくことを期待しています。

渡部 ありがとうございました。この先に発表されるほかのプログラムも、楽しみにしております。

https://japan.jal.co.jp/workingholiday_monitor/
日本航空株式会社 インタビュー:地域事業本部事業戦略部 伊東和夫さん
聞き手:渡部郁子さん(株式会社みらいハウスワークス)
当インタビューは、2022年9月15日に行いました。
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