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(一社)九州のムラ 「農・林・漁業で、新しい働き方、暮らし方を体験~ムラ暮らしインターン~」

(一社)九州のムラ 「農・林・漁業で、新しい働き方、暮らし方を体験~ムラ暮らしインターン~」

一般社団法人九州のムラ 代表理事 養父信夫さん
一般社団法人九州のムラ 代表理事 養父信夫さん

《聞き手》みらいハウスワークス 渡部郁子さん(以下 渡部) 今回お話を伺うのは、一般社団法人九州のムラ、代表理事、養父信夫さんです。よろしくお願いします。まず初めに、九州のムラの団体概要について教えてください。

一般社団法人九州のムラ 代表理事 養父信夫さん(以下 養父)
 私たちは、主に九州地域のグリーンツーリズムを含めた観光・地域づくりの推進に取り組んでいます。自分自身はもともと東京の民間企業で働いていましたが、地下鉄サリン事件や阪神・淡路大震災があった1995年を機に、東京を離れてマチとムラをつなぐという活動をしようと考え、独立しました。当時まだグリーンツーリズムという言葉が出てきたばかりの頃でした。
 もともと情報発信の仕事をしていたので、情報を出すところに情報が集まってくることを知っていましたから、自分の生まれ育った福岡県宗像市で、グリーンツーリズムを支援するような情報誌を作り始めました。そこから、地域でマルシェを開催したり、民間企業と連携したりするなど、さまざまな企画を提案して、ひたすらマチの人たちとムラの人たちをつなげるプロジェクトに関わってきました。

渡部
マチとムラをつなぐ、という活動は、まさに今回の「ムラ暮らしインターン」事業にも共通する部分が大きいですね。こちらは2021年度から行われていますが、22度の特徴を教えていただけますか?

養父
 私たちの企画の一番の特徴は、農泊だと思います。農村地域で働き暮らしたいと考える人が実際に移住しようと考えたとき、地域にはもちろん空き家バンクとか行政の支援などもありますが、実際に土地はどうする、家はどうする、仕事はどうするなど、さまざまな問題があって、そういう「よろず相談」に対するノウハウを持っているのが、ある意味、地域の中でリーダーの方だと考えています。そのような方たちが農泊をやっていますので、こうしたキーマンとなる方たちと移住定住希望者をつないでいくプログラムになっています。
 昨年度は1週間程度の実地研修でしたが、今年度は【「働く」と「暮らす」を探すたび】というコンセプトで2週間程度の研修期間を設けました。現地の受け入れ先は、そのまま雇用の意思があるところにおつなぎします。

渡部
そうすると、研修で体験した参加者が希望すれば、そのまま就職できる、仕事も住む場所も、丁寧に相談に乗ってくれるということですね。それは素晴らしいですね。

養父
 はい、プランとしては、短期間で複数回の実地研修を行うコースと、2週間の実地研修を行うコースを用意している地域が多いです。2週間の実地研修に参加する方々は、やはり本気で移住定住を検討している人が多いという印象がありますね。
 農泊に加えて、今年度のプランの特徴は農業、林業、漁業という第1次産業を網羅的に学べる8カ所の地域を選定しています。例えば長崎県壱岐市では、海女として生計を立てていくことに関心を持っている方を募集しています。時期的に海女漁の体験はできませんが、一本釣り漁やカキの磨き上げ作業などを体験していただき、移住してきて地元で活躍している海女や漁師の先輩たちとの交流を通して移住のイメージをしっかりと実感していただける内容になっています。

渡部 海女漁について学べるプログラムというのは、とても珍しいですね。

養父
 ほかにも、熊本県南阿蘇村のいちご農家にしても、佐賀県鹿島市のみかん農場にしても、生産活動を行い販売先の出口を既に持たれていて、本当に人手が欲しいという受け入れ先を中心にプログラムを組んでいます。もし研修生本人が希望すれば、すぐにでも雇用したい、と本気で考えているそうです。
 また、受け入れ先にそのまま就職、という選択以外にもつながりをつくれるようなプログラムを組んでいます。例えば、過去に参加した人の中で、地域おこし協力隊として地域に就職した方もいます。地域で働くことを考えた時、地域おこし協力隊の制度を使いたいと考える人は多いです。だから、既に協力隊として働いている人とつながるような交流の場を設けることで、いろいろな話を聞いて相談できる場をつくっています。

渡部
養父さんは、どんな方に研修生として応募してほしいと考えていますか?

養父
 年齢制限は特に設けていません。「スキルはないけど意欲はある」という方、第1次産業に関わりたいから教えてほしいという気持ちがあれば、スキルは全然必要ありません。やる気のある人に真剣に向き合って、それを生かせる地域の方にしっかりつなぎます。
 この先、鹿島市は11月と12月の実施予定、南阿蘇村は11月終わりから12月、ほかにも11月に募集開始となり年明けに実施するプランもあるので、興味があればウェブサイトをご確認いただけたらと思います。

渡部
ありがとうございました。九州のムラの8カ所9プログラム、どれも個性的で興味深いです。開催後の報告も楽しみにしています。

https://9mura.net/internship2022/
一般社団法人九州のムラ インタビュー:代表理事 養父信夫さん
聞き手:渡部郁子さん(株式会社みらいハウスワークス)
当インタビューは、2022年9月20日に行いました。
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