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(一社)日本ウェルビーイング推進協議会 地域のウェルビーイングを上げて未来の希望とつながる~「つなぐプロジェクト」~

(一社)日本ウェルビーイング推進協議会 地域のウェルビーイングを上げて未来の希望とつながる~「つなぐプロジェクト」~

一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会

《聞き手》みらいハウスワークス 渡部郁子さん(以下 渡部)
今回お話を伺うのは、一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会(以下PCW)、代表理事の島田由香さん(以下、敬称略)です。よろしくお願いします。まずはじめに、どのような活動をしている団体なのか、教えていただけますか?

一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会 代表理事 島田由香さん(以下 島田)
 私たち一人ひとりのくらしが根づく「地域」に焦点を当て、全国の地域が取り組むウェルビーイングな地域づくりをサポートし、各地に広げ、インスパイアし合うことで、日本全体のウェルビーイングを引き上げていくという活動をしています。具体的には、自治体様からの依頼でウェルビーイングウィークやカンファレンスなどのイベントを企画運営するなどの事業を行っています。

渡部
ありがとうございます。ではPCWの提案する「つなぐプロジェクト」について、教えてください。

島田
 はい。地域の魅力を感じ、かつそれが新しい働きかたのひとつであるワーケーションを通じて展開することにより、日本のウェルビーイングが豊かになると考え、人材育成のための研修制度を行うことにしました。それが「つなぐプロジェクト」です。全国4つのエリアでその地域の特性を生かした一次産業に関わるワーケーションのプランがあります。

 日本には、今でも各地に広大な自然が残され、私たちの毎日を支える一次産業(農林漁業)が時代と世代を超えて受け継がれてきました。その一方で、少子高齢化に伴う農山漁村の人口減少、人材・後継者不足が問題となり、地域の活力低下や過疎化が懸念されています。

 こうした地域の課題と、都会で働く人たちの地域への関心の高さと、一次産業の体験がもたらすウェルビーイング向上や人材育成への効果に着目し、「一次産業ワーケーション*」を切り口とした新たな人材育成プログラムを通じて、地域における多様な人材の活躍の場を創出することで、関係人口の増加を目指すというプロジェクトです。

 ちなみに、「一次産業ワーケーション*」とは、都会の人をターゲットに、ワーケーションに行った先で必ずその地域の一次産業の作業を行うことと定義し、PCWで商標登録をしています。

 このプロジェクトは、私が8年前に山口県のとある田舎を訪れた時に、空の広さや緑の豊かさ、その美しさ、その魅力に、体が震えるほど感動したことがきっかけで生まれました。私は東京育ちで海外関連の仕事が多かったため、田舎への意識がそれまであまりありませんでした。

 あの時の感動をきっかけに、私自身がその後、実際に一次産業を体験するワーケーションに2年間携わった経験から、新しい働きかたとして広がりつつあるワーケーションを通して、地域の魅力を活性すること、さらにはそういった人材を育成して広げていくことが日本のウェルビーイングにつながると確信しています。

渡部
島田さんは、都会の方が一次産業ワーケーションを体験することで、どんなことを得られるとお考えですか?

島田
 私が2年かけて(つなぐプロジェクトの前身となった)梅収穫ワーケーションを体験したときに、何が得られたかというと、個人の感想としてはまず、ものすごい集中力、それから無心になって何かに没頭する時間を得られました。これにより脳のすっきり感とかポジティブ感情の向上などが得られると、参加者のアンケート結果からも明らかになっています。

 また、新しい田舎ができたという方や、拡張家族が増えたと感じるなど、参加したほぼ100%の人が、農家さんとのつながりに喜びを感じていました。そこからつながって、梅に対してのつながりや農業に対してのつながりも深まるし、ワーケーションで訪れた土地に対してのつながりも深まることで、地域に繰り返し訪れる方が増えています。

 都会からの参加者がそういったことを得られることに加えて、農家さんにとっても、お手伝いしてくれる作業者が増えるという意味で、まさにwin-winでつながっていく取り組みになっています。

渡部
では、4つのエリアで展開するプロジェクトの内容について教えていただけますか?

島田
和歌山で2か所、石川と福井で1か所ずつ、合計4地域でそれぞれ10名の参加者を募集します。和歌山県みなべ町、すさみ町と、石川県能登町、福井県高浜町の4エリアです。

 それぞれの地域で、地域の特性を生かした一次産業に関わるプランになっています。3泊4日の研修が2回、6泊7日の研修が1回、延べ15日間の実地研修を行います。

 今後のスケジュールをお伝えすると、募集は9月末まで、10月から事前研修、11月から2月の期間に現地研修、そして事後研修7時間を予定しています。

 和歌山県みなべ町でのプログラムは、世界農業遺産に認定されている「みなべ・田辺の梅システム」を学び、体験します。400年にわたり高品質な梅を持続的に生産し、地域の発展を支え続けてきた農業システムです。

 和歌山県すさみ町でのプログラムは、漁業作業に関わり、漁師さんと時間を共有しながら、漁業の現状について理解を深める内容を予定しています。

 石川県能登町でのプログラムは、世界農業遺産に認定された「能登の里山里海」地域で、木こり作業を中心に、里山・里海を学びます。

 福井県高浜町でのプログラムは、漁業作業や農林漁業6次産業化へ向けた取り組み視察、食品加工・販売さサポートなどを学習します。

渡部
延べ15日間に加えて事後研修もあり、しっかり学べそうな内容ですね。今回のプログラムを、どんな方に参加してほしいですか?

島田
 まず、地域のことや地域活性に興味がある方、それから一次産業を大事に考えていて、盛り上げていきたいと思っている方、さらには、何かしら悶々としている方。これだけ自然に触れながら自分の貢献を感じられる仕事がある、居場所がある、つながりを感じられるところがあると感じてもらえると思います。

渡部
悶々としている方(笑)積極的に応募してほしいですね。では最後にひとことお願いします。

島田
 このプロジェクトの名前にもなっている「つなぐ」という言葉なんですが、自分の本心とか情熱とか本当はやりたかったこととか、そういったことが、何かどこかでつながりを失ってしまっている人が多いと思います。都会にいると自然と全くつながってないし、都心と地域のつながりもそうだし、自分とつながりなおすという意味もあり、未来の希望とつながるっていう意味もあります。つながりができると人生が広がるので、そういったものをつなぎなおしてほしい、というような思いを込めて作ったプロジェクトです。ご参加お待ちしています。

渡部
どんな方が集まり、どんなつながりが生まれていくのか、とても楽しみです。本日はインタビューのお時間をいただき、ありがとうございました。

島田
 ありがとうございました。

https://pcwjapan.com
日本ウェルビーイング推進協議会 インタビュー:代表理事 島田由香さん
聞き手:渡部郁子さん(株式会社みらいハウスワークス)
当インタビューは、2023年8月10日に行いました。
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